Sony の S-Log3 を普通の色にする — 公式の LUT(s709)と露出の基準
Sony のカメラで撮った S-Log3 を Rec.709 にする公式の LUT、カメラ内の s709 と 709(800%) の違い、S-Log3 の露出の基準(18% グレー=41%)を、Sony の公式資料で確かめてまとめました。
先に結論
- S-Log3 の映像は、そのままだと白っぽく眠い色です。Sony の解説によると、Rec. 709 用の画面は Log の色域をすべて表示できないため、コントラストが足りなく見えます。
- 見られる色にするには、S-Log3 を Rec.709 に変換する LUT を1回だけ当てます。Sony は変換用の LUT を公式に配っています(下の「公式の LUT」)。
- S-Log3 は、ソニーの説明で「グレーディング(撮影後の映像加工)を行うことを前提としたガンマカーブ」です。
撮るときの設定:S-Gamut3.Cine か S-Gamut3 か
ピクチャープロファイルのプリセットでは、PP8 が S-Log3+S-Gamut3.Cine、PP9 が S-Log3+S-Gamut3 です。 ソニーの説明では S-Gamut3.Cine は「[S-Gamut3]よりも実用的な範囲に色域を抑え、使いやすさを重視した設定」で、 「広色域な[S-Gamut3]が必要でない場合にはこの設定をおすすめします」とあります。
メニューに[Log撮影設定]がある機種は、そちらから Log 撮影を設定します(Flexible ISO/Cine EI/Cine EI Quick)。無い機種は PP7〜PP9 で撮ります。機種によって使える機能は違います。
公式の LUT(編集ソフトで当てる)
Sony の解説ページ(英語)に、S-Log3 用の LUT のダウンロードリンクが2本あります。
- For S-Gamut3 & S-Gumut3.cine/S-Log3 (Rec.709) … Rec.709 用
- For S-Gamut3 & S-Gumut3.cine/S-Log3 (P3DCI/P3D65) … P3 用
(リンクの文言は原文の綴りのまま写しています。)
このページで使える機種として名前が挙がっているのは ILCE-1 と ILCE-7SM3 で、条件は S-Log3 ガンマに S-Gamut3.Cine か S-Gamut3 を組み合わせて撮った動画です。 ほかの機種が対象かどうかは、ページには書かれていません。
同じ解説には、LUT を当てる前にコントラストを調整してよい、とも書かれています。LUT で Rec.709 の色にしてから、好みの色に仕上げる流れです。
カメラの中の LUT(s709 と 709(800%))
- s709 … 「フィルム特性に近い色調・色再現、ローコントラスト映像」。α7 V のヘルプガイドでは「映画やドラマ制作において好まれる、フィルムカラーに似た色合い」。
- 709(800%) … 「TV放送に適した色再現、ハイコントラスト映像」。α7 V のヘルプガイドでは「忠実色を再現した、コントラストのある色調」。
- ユーザーLUT … 最大16種類。入れられるのは「S-Gamut3.Cine/S-Log3またはS-Gamut3/S-Log3からの変換LUTのみ」です。
α7 V に入れられる LUT は「17格子または33格子のCUBEファイル(.cube)」、ファイル名は「半角英数字(1バイトコード)で、“.cube”含め63文字以下」です。
置き場所は SD カードなら /Private/Sony/PRO/LUT、CFexpress Type A なら /Sony/PRO/LUT です。
露出の基準(公式の数値)
- S-Log3 の露出基準は「反射率18%グレーのビデオ出力が41%になる状態」です(S-Log2 は 32%)。
- 技術資料の表では、S-Log3 の 0% の黒が 3.5%、18% グレーが 41%、90% の白が 61% です。
- ピクチャープロファイルの S-Log3 はダイナミックレンジ 1300% に設定され、ビデオ出力は最大 94% です。
- S-Log3 はノイズが目立ちやすく、α7 V のヘルプガイドには「明るめに撮影することでノイズを軽減できる場合があります。ただし、明るく撮影した場合にはその分だけダイナミックレンジは狭くなります」とあります。
「何段明るく撮る」という数値は、公式資料には見つかりませんでした。
Final Cut Pro を使う場合
Final Cut Pro には「Sony S-Log3/S-Gamut3」「Sony S-Log3/S-Gamut3.Cine」のカメラのLUT が入っていて、LOG の素材はメタデータから見分けて自動で当たります。 ユーザガイドの説明は「F5やF55などのSonyカメラの…設定で撮影された素材用の線形化と709(800%)MLUTトーンマッピングを適用します」です。 手順は Final Cut Pro で LUT(.cube)を当てるにあります。
IROZORA の LUT を使うとき(作った側としての説明)
- S-Log3 の素材には
02_Sony_S-Log3フォルダの LUT を1本だけ当てます。S-Log3 から Rec.709 への変換と色づけが1本に入っています。 - このフォルダは S-Log3 / S-Gamut3.Cine(PP8 の組み合わせ)を前提に作っています。
- Sony の公式 LUT や、編集ソフトのカメラのLUT と重ねると変換が二重になり、色が壊れます (S-Log3にLUTを当てると緑や紫に壊れる — 原因は順番です)。
公式資料で確かめられなかったこと
- Sony の配布 LUT(s709Cubes.zip)の中身(ファイル名・格子数・S-Gamut3 用と S-Gamut3.Cine 用が別か)
- 配布 LUT の利用条件(ページに LUT 個別の条件が書かれていません)
- α7 IV・FX3・FX30 などが、配布 LUT の対象機種かどうか
- S-Log3 で何段明るく撮るとよいかの数値
- pro.sony の LUT 配布ページ(取得できず、中身を確かめられませんでした)
ここに挙げたことは、手順として書いていません。
確かめた公式資料
このページの手順と数値は、下の資料の記述で確かめてから書いています。ソフトの版が上がると画面の表記や場所が変わることがあります。違っていた場合は公式資料のほうを正としてください。
- Sony「Using Picture Profile presets with S-Log(Shooting with S-Log for color grading)」(2026年9月30日 に確認)
- Sony「Applying LUTs in color grading(同)」(2026年9月30日 に確認)
- ソニー「基本的な階調/発色を決める(ガンマ/カラーモード)(クリエイターズヘルプガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- ソニー「LUTを活用した撮影(クリエイターズヘルプガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- ソニー「ピクチャープロファイルとは(クリエイターズヘルプガイド)」(2026年9月29日 に確認)
- ソニー「LUT選択(ILCE-7M5 ヘルプガイド)」(2026年9月29日 に確認)
- ソニー「ユーザーLUTの管理(ILCE-7M5 ヘルプガイド)」(2026年9月29日 に確認)
- ソニー「ピクチャープロファイル(静止画/動画)(ILCE-7M5 ヘルプガイド)」(2026年9月29日 に確認)
- Sony「Technical Summary for S-Gamut3.Cine/S-Log3 and S-Gamut3/S-Log3(PDF)」(2026年9月29日 に確認)
- Apple「Mac用Final Cut ProでLUTを適用する(ユーザガイド)」(2026年9月30日 に確認)
このページに関係する素材
SIGNATURE — 制作者が実際に使っている1本
IROZORAを作っている本人が、自分の映像案件でいちばん使っているLUT。新しく作ったものではなく、普段のファイルをそのまま出しています。