夜景のネオンが白く潰れる — 彩度を上げる前に見る場所
夜の街を撮ってLUTを当てると、ネオンや街灯が真っ白や真っ赤に潰れて滲みます。原因は彩度ではなくハイライトの扱いです。夜の絵が昼と決定的に違う点から説明します。
症状:光った部分が「面」になる
夜の街を撮ってLUTを当てると、看板やヘッドライトが白い塊になり、 輪郭がぼやけて滲む。赤いネオンは真っ赤なベタになって文字が読めない。 彩度を下げると今度は夜らしさが消える。
夜が昼と決定的に違うところ
夜の絵には、光源そのものが画面の中に入っています。 昼の風景で写っているのは「太陽に照らされた物」で、太陽自体は普通フレームの外です。 ところが夜は、看板・街灯・ヘッドライトという発光体が直接写ります。
発光体は、カメラのセンサーから見ると他の被写体より2桁明るいことがあります。 ここに昼と同じ感覚でコントラストと彩度を足すと、上限を超えた部分が全部同じ値に 張り付きます。これが「面になる」の正体です。彩度の設定値の問題ではありません。
見るべきはハイライトの2つの値
- どこから丸め始めるか(ニー) … 明るい側をどの位置から寝かせ始めるか。 夜はここを早め(低め)に置きます。上限ぎりぎりまで直線で持っていくと、 超えた瞬間に全部同じ値になります
- どれだけ色を抜くか … 明るくなるほど色を薄くしていきます。 実際の発光体も、明るい中心は白に近く見えます。 色を残したまま明るさだけ上げると、赤が「真っ赤なベタ」になります
この2つを先に決めてから彩度を触ると、ネオンが潰れずに色を保ちます。 順番が逆だと、彩度をいくら下げても滲みは直りません。
暗部は締めすぎない
夜の絵は「黒を締めると締まって見える」ので、つい潰しがちです。 ただ濡れた路面の反射・遠くの窓明かり・空の階調は全部暗部にあります。 ここを潰すと、夜なのに情報が何も無い画面になります。
とくにSNSに上げる場合、圧縮で階調が壊れる ぶんの余裕を残しておく必要があります。実測では、暗い素材ほど なだらかな部分が段差に変わりやすいという結果が出ています。
光源の種類で色が違う
夜を「青くする」と考えると全部同じ画になります。実際の夜は光源ごとに色が違います。
- ナトリウム灯(旧来の街灯)… 強いオレンジ。ほぼ単色
- 水銀灯・古い蛍光灯(駐車場・高架下)… 緑に寄る。 「緑被りを直す」のではなく、そのまま使うと場所の空気が出ます
- タングステン(室内・居酒屋)… 暖色だが街灯より柔らかい
- LED看板 … 原色に近く、飽和しやすい。一番潰れるのはここです
同じ「夜」でも、どの光源の下にいるかで作る色が変わります。
雨の日は逆
濡れた路面は反射で情報が暗部に集中します。 乾いた夜と同じように黒を締めると、一番おいしい反射が消えます。 雨の夜だけは黒を持ち上げる方向で作ってください。
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