LUTが強すぎるときの弱め方 — ソフト別の強度調整と、肌だけ守る方法
LUTを当てたら色が濃すぎる、肌がオレンジに焼ける、暗部が潰れる。各ソフトの強度スライダの場所と、強度を下げても直らないときにどこを触ればいいかを説明します。
まず確認:本当に「強すぎ」ですか
強度を下げる前に、2つだけ確認してください。原因が別にある場合、 強度をいくら下げても直りません。
- 露出は合っていますか。 LUTは正しい明るさの映像を前提にした変換表です。 暗い素材に当てると暗部が潰れ、明るい素材に当てるとハイライトが飛びます。 それは「LUTが強い」のではなく「入力がずれている」状態です
- 変換が二重になっていませんか。 コントラストが異常に強く、 色が緑や紫に転ぶ場合はこちらです (確認方法はこの記事)
この2つを直したうえで、それでも濃い・強いという場合に、以下が効きます。
ソフト別:強度スライダの場所
- Final Cut Pro … カスタムLUTエフェクトの「ミックス」。 ビデオインスペクタのカスタムLUTの項目にあります。1.0が100%です
- Premiere Pro … Lumetriカラーの「クリエイティブ」に Lookとして読み込み、その下の「強さ」スライダで調整します。 「基本補正」の入力LUTには強度スライダが無いので、弱めたいLUTは クリエイティブ側に入れるのがコツです
- DaVinci Resolve … LUTを当てたノードを選び、 「キー」パレットのキー出力のゲインを下げます。1.0が100%、 0.5で効果が半分になります
- CapCut等のスマホアプリ … フィルタやLUTを適用した画面に そのまま強度スライダが出ます
強度を下げることの副作用
どのソフトでも、強度スライダの中身は「LUT適用後の画と、適用前の画を 混ぜる」操作です。つまり50%にすると、欲しかった色の方向も、 必要だったコントラストも、全部まとめて半分になります。
「色は薄くしたいがコントラストは保ちたい」「全体はこのままで肌だけ直したい」 という要望には、混ぜる操作では応えられません。その場合は次の方法です。
肌だけ守る:色相 vs 彩度カーブ
LUTで一番先に破綻が目立つのは肌です。オレンジが乗って「日焼けした」ように なります。全体の強度は保ったまま肌だけ戻すには、LUTの後ろに 色補正を1段足します。
- Final Cut Pro … エフェクトの「カラーカーブ」ではなく 「色相/彩度カーブ」を追加し、「色相 vs 彩度」のカーブで 肌のオレンジ付近だけ彩度を下げます。スポイトで顔の色を拾うと正確です
- DaVinci Resolve … LUTノードの後ろに新しいノード (右クリック →「ノードを追加」→「シリアルノードを追加」)を作り、 カーブの「色相 vs 彩度」で同じことをします
- Premiere Pro … Lumetriの「カーブ」→「色相/彩度カーブ」 →「色相 vs 彩度」です
必ずLUTより後ろに置いてください。前に置くと、直した肌に またLUTがかかります。
「一部のカットだけ強く見える」場合
同じLUTを全カットに当てたのに、特定のカットだけ濃い・暗いという場合、 LUTの強度の問題ではありません。カット間で露出とホワイトバランスが 揃っていないのが原因です。LUTは入力のズレを増幅します。 明るいカットと暗いカットに同じ変換をかければ、出口の差はもっと開きます。
この場合の手当ては、LUTの前に露出補正を置いて、 先にカット同士を揃えることです。強度スライダをカットごとに変えて 辻褄を合わせると、修正のたびに全カットを触り直すことになります。
下げる前と後で、どこを見るか
強度を下げるときは、スライダを見ずに映像の3箇所を見てください。
- 肌 … 血色が戻る点まで下げる。それ以上下げてもルックが薄まるだけです
- 暗部 … 潰れて見えなくなっていた模様(髪・服のしわ・影の中の物)が 見える点まで
- 白いもの … 紙や壁が白に戻っているか。ルックの色が白に乗るのは 意図的な演出の場合だけにします
経験上、「ちょうどいい」と感じる強度は思っているより低く、 0.6〜0.8あたりに落ち着くことが多いです。当てた直後の目は 派手な方に引っ張られるので、一度オフにして数秒見てから戻すと 判断が安定します。もうひとつの目安は小さい画面で見ることです。 編集画面のプレビューで気持ちいい濃さは、スマホの画面では大抵やりすぎです。 書き出す前に一度、実際に見られるサイズで確認してください。
暗部だけ潰れる場合
色の濃さはちょうどいいのに暗部だけ黒く沈む、というLUTもあります。 これは強度ではなく入力の黒の位置の問題なので、 LUTの前にシャドウ(黒レベル)をわずかに持ち上げる補正を置きます。 LUTの後ろで持ち上げると、潰れて情報が消えた場所は灰色に浮くだけで戻りません。 前で持ち上げれば、LUTに入る前の情報が生きているので階調が戻ります。
そもそも強度違いが用意されているLUTを選ぶ
混ぜて薄めた50%と、最初から弱く設計された1本は、同じになりません。 弱い設計のLUTは「色は控えめだがコントラストの芯は残す」というような 配分の調整ができているからです。パックを選ぶ段階で、 同じルックの強弱違い(弱・中・強など)が入っているものを選ぶと、 スライダで妥協する場面自体が減ります。 選び方の残りはLUTを10種類買ったのに 全部同じに見える理由にまとめてあります。