LUTを10種類買ったのに、全部同じに見える理由
「10ルック収録」のLUTパックを買って、実際には3〜4種類しか使えなかった経験は珍しくありません。なぜそうなるのかと、買う前に見分ける方法を説明します。
よくあること
「10ルック収録」と書かれたLUTパックを買う。当ててみると、 名前は違うのに見分けがつかないものが混ざっている。結局いつも同じ2〜3本しか使わない。
これは買う側の目の問題ではありません。作る側で起きやすい構造的な失敗です。
なぜ似てしまうのか
LUTを作るとき、一番動かしやすいのはコントラストと色温度です。 ところがこの2つだけで10本作ろうとすると、必ず途中で詰まります。
- 暖色側に3本、寒色側に3本作ると、残り4本の行き先がありません。 真ん中に置くと「何もしていないルック」になります
- 「NIGHT」「MOODY」「COOL」のように名前は違うが方向が同じものを 並べてしまう。買う側は名前を見て別物だと思って買います
- 強いルックを1本作ると、その隣は自動的に「弱い同じ方向」になります
私たちも一度これをやりました。自社の最初のパックで、 「NIGHT」と「CINEMA_STRONG」の差が実測で3.9しかない状態のまま 出荷寸前まで行っています(差の単位は0〜255で、後述のとおり3.9は「同じ」です)。
「違う」を数字で決める
そこで、出荷前に全ペアの距離を機械で測るようにしました。 記憶色(中間グレー・明部・暗部・肌・空・緑・赤)にルックを当て、 その応答が互いにどれだけ離れているかを見ます。
| 差(0〜255) | 見え方 |
|---|---|
| 約4 | 並べても同じ。名前を変えて2回売っている状態 |
| 7 | 言われれば分かる。別商品として名乗れる下限 |
| 12以上 | 並べれば明らか |
下限を7.0に決めて、1ペアでも下回ったら出荷を止めています。 さらに名前が約束した方向に動いているかも見ます。 「NIGHT」なのに暖色に転んでいたら、それは夜のルックではありません。
これは思ったより難しい
実際、この検査で何度も止まっています。
- スマホ向けのパックは最初の版で最小3.8、11ペアが不合格でした。 撮って出しの素材は黒を潰せないのでコントラストで差を作れず、 色の方向と黒レベルで分け直しています
- 夜のパックは光源が数種類しかないので、素直に作ると 全部「暗くて青い」に寄ります。色相・彩度・黒レベルの3軸を 書く前に決めてから作りました
- モノクロのルックに「NIGHT」という名前を付けようとして止められました。 彩度ゼロのルックは寒色にも暖色にもなれないので、 名前が果たせない約束をしていることになります。名前の方を変えました
買う前に見分ける方法
販売ページで確認できることがあります。
- 全ルックを1枚に並べた画像があるか。 1ルックずつ大きく見せて いる場合、並べると似ていることが多いです。作る側は必ず並べて見ているので、 出していないのには理由があります
- 同じ素材に当てた比較になっているか。 ルックごとに違う写真を 使っている比較は、違って見えて当たり前です
- 素材が明るい風景や夕景だけになっていないか。 彩度が飽和した素材はどのルックを当てても差が出ません。 肌・緑・ニュートラルな面が同じ画面に入っている素材で見せているものは、 作る側が自信を持っている証拠です
- 無料版があるか。 一番確実です。手元の素材に当てれば、 自分の撮り方で差が出るかがその場で分かります
IROZORAの場合
全LUTパックがこの検査を通っています。デモ画像は 候補の素材に全ルックを当てて、差が一番大きく出るものを機械で選んで 作っているので、販売ページの見え方がそのまま実力です。 判断は無料スターターで確かめてから決めてください。