Final Cut Pro で HLG の素材を Rec.709(SDR)で仕上げる — カラー適合とHDRツール
HLG(HDR)で撮った素材を、Final Cut Pro の Rec.709 のプロジェクトで扱う方法を、Apple の公式ユーザガイドで確かめてまとめました。自動の「カラー適合」、手動の「HDR (HLG) to SDR」、HDRツール、色空間のタグの直し方まで。
対象: Final Cut Pro for Mac のユーザガイド(12.3 で下調べし、2026年9月30日に 12.4 のページで同じ文面であることを確かめました)。iPad 用は対象外です。
先に結論:多くの場合、何もしなくても変換されます
ユーザガイドには「デフォルトでは「カラー適合」が「自動」に設定されており、色空間設定の異なるクリップをプロジェクトに追加すると、そのクリップの色空間がプロジェクトの色空間に自動的に変換されます」とあります。 HLG のクリップを Rec.709 のプロジェクトに置けば、自動で SDR に変換されます。
この自動の管理は Final Cut Pro 10.6.6 以降の機能です。10.6.3 以前で作ったプロジェクトでは「カラー適合」が「なし」になっています。
まず確かめる:プロジェクトが Rec.709 か
- プロジェクトを選び、「ウインドウ」>「プロジェクトの情報」(Command+J)を選びます。
- 「プロジェクトの情報」インスペクタの右上の「変更」を押します。
- 「色空間」ポップアップメニューで 「標準 - Rec. 709」 を選び、「OK」を押します。
ユーザガイドは「通常は、作業用色空間を出力色空間(完成して配布されるプロジェクトに要求される色空間)に合わせることを強くお勧めします」としています。 ライブラリの色処理(「ファイル」>「ライブラリのプロパティ」)が「Wide Gamut HDR」でも、その中に Rec.709 のプロジェクトは作れます。 ただし色処理の設定は「ライブラリ内のすべてのプロジェクトとメディアに影響する」ため、Apple はプロジェクトや納品物ごとにライブラリを分けることを勧めています。
手動で変換する:カラー適合の「HDR (HLG) to SDR」
- タイムラインでクリップを選びます。
- 「ウインドウ」>「ワークスペースに表示」>「インスペクタ」(Command+4)を選び、上部の「ビデオ」ボタンを押します。
- 「カラー適合」セクションの「タイプ」ポップアップメニューで「手動」を選びます。
- 「変換のタイプ」で 「HDR (HLG) to SDR」 を選びます。ユーザガイドの説明は「クリップをSDRルミナンスレベルに変換したい場合は、この設定をSDR(Rec. 709)プロジェクト内のHDR(HLG)クリップに適用します」です。
日本語版のユーザガイドでも、この項目名だけ英語で書かれています。実際の画面での表記は確かめていません。
変換のタイミングを自分で決める:HDRツール
「HDRツール」は、ユーザガイドでは「古いプロジェクトとの後方互換性のため、および一部の手動による色変換タスクのために含まれるレガシーエフェクト」です。特定のエフェクトのあとに変換したいときに使います。
- そのクリップの「カラー適合」を「なし」にします。「カラー適合」と「HDRツール」は加法的なので、どちらか一方だけを使います。
- 「エフェクト」ブラウザの「カラー」カテゴリで「HDRツール」をダブルクリックします。
- インスペクタの「HDRツール」の「モード」で 「HLGからRec. 709 SDR」 を選びます。
- ユーザガイドは「最適な結果を得るには、「HDRツール」エフェクトが色補正エフェクトのあとに適用されるように」並べることを勧めています。
HLG として認識されていないとき
「情報」インスペクタの左下の「メタデータ表示」で「拡張」を選び、「カラープロファイル」を見ます。HLG なら 9-18-9(Rec. 2020 HLG)、Rec.709 なら 1-1-1 です。
違っていたら「メタデータ表示」を「設定」にして、「色空間の上書き」で元の色空間を選びます。
この操作は情報(タグ)を変えるだけで、明るさの変換はしません。ユーザガイドは、色補正の前に行うことを勧めています。
自動の変換を切りたいとき
「Final Cut Pro」>「設定」>「一般」で「自動カラー適合」のチェックを外します。以後に読み込んでタイムラインに足すクリップは、「変換のタイプ」が「なし」になります。
IROZORA の LUT について(作った側としての説明)
IROZORA の LUT に HLG 用のフォルダはありません。01_Rec709_normal は Rec.709 の映像に当てる前提で作っています。
「カラー適合」と、クリップに足したカスタムLUT のどちらが先にかかるかを書いた公式の文は見つからなかったため、HLG のクリップに LUT を重ねる手順はこのページでは書いていません。
公式資料で確かめられなかったこと
- ライブラリが「標準」のとき、HLG のクリップがどう処理されるか
- HLG の素材を Rec.709 で仕上げるとき、ライブラリを「標準」と「Wide Gamut HDR」のどちらにするべきか(HLG を名指しした推奨)
- 「カラー適合」がカスタムLUT などのエフェクトより前にかかるか後にかかるか
- HLG → Rec.709 の変換のあとに LUT を当てる、ひと続きの公式の手順
- カメラごとの HLG 素材の扱いの違い
編集中のビューアでは、HDR の映像に「HDRをトーンマッピングとして表示」が既定でかかることが多い、とユーザガイドにあります。これは表示だけの話で、書き出しの変換とは別です。ここに挙げたことは、手順として書いていません。
確かめた公式資料
このページの手順と数値は、下の資料の記述で確かめてから書いています。ソフトの版が上がると画面の表記や場所が変わることがあります。違っていた場合は公式資料のほうを正としてください。
- Apple「Mac用Final Cut Proで自動カラー管理とカラー適合を使う(ユーザガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- Apple「Mac用Final Cut ProでWide Gamut HDRカラー処理を使用する(ユーザガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- Apple「Mac用Final Cut Proの広色域とHDRの概要(ユーザガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- Apple「Mac用Final Cut Proのクリップのメタデータを上書きする(ユーザガイド)」(2026年9月30日 に確認)
- Apple「Mac用Final Cut ProのビューアでHDRビデオを表示する(ユーザガイド)」(2026年9月29日 に確認)
このページに関係する素材
SIGNATURE — 制作者が実際に使っている1本
IROZORAを作っている本人が、自分の映像案件でいちばん使っているLUT。新しく作ったものではなく、普段のファイルをそのまま出しています。