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ドローン映像の色編集 — あなたのDJI素材は、たぶんLOGではありません

空撮の色編集で最初に確認するのは、素材がLOGかどうかです。DJI機の多くは通常(ノーマル)で記録されています。見分け方と、ノーマル素材・空撮特有の霞に合わせた直し方を説明します。

最初の分かれ道:LOGかノーマルか

「ドローン グレーディング」で検索すると、D-Log前提の解説ばかり出てきます。 ところがDJIの多くの機種・多くの設定では、映像はノーマル(通常のカラー)で 記録されています。D-Logで撮れるのは上位機種か、設定で明示的に 切り替えた場合だけです。手元の素材がどちらかを確認しないまま D-Log用の手順をなぞると、そこから先が全部ずれます。

見分け方:明るさではなく黒を見る

「眠い感じがするからLOGだろう」は当てになりません。曇天の空撮は ノーマルでも眠く見えるからです。見るのは黒です。

LOGは暗部を持ち上げて記録する方式なので、黒が黒いLOGは存在しません。 撮影アプリのカメラ設定で「カラー」が「ノーマル」になっているかでも確認できます。

ノーマル素材に、LOG用LUTを当てない

空撮向けとして配られているLUTにはLOG変換入りのものが多く、 ノーマル素材に当てるとすでに締まっている黒がさらに潰れ、 コントラストが過剰になり、空の階調が飛びます。 ノーマル素材に使ってよいのはRec709用(通常素材用)のLUTだけです。 この取り違えはLOG素材での二重変換と対になる失敗で、仕組みは S-Log3にLUTを当てると緑や紫に壊れると同じです。

空撮特有の問題1:霞

空撮の色が決まらない一番の理由は霞(かすみ)です。高度を上げるほど、 カメラと被写体の間の空気が増え、遠景ほど白っぽく・青っぽく・ コントラストが低くなります。地上の感覚で全体のコントラストを足すと、 手前だけ濃くなって遠景は白いまま、という画になります。

直す順番はこうです。

  1. 黒レベルを下げる。 霞は「黒が浮いている」状態なので、 まず一番暗い場所が黒になるまで下げます。これだけで霞の半分は抜けます
  2. 青かぶりを抜く。 霞は青に寄るので、ホワイトバランスを わずかに暖色側へ。抜きすぎると空気感ごと消えるので、遠景に薄い青が 残る程度で止めます
  3. 足りない分だけコントラストを足す

霞は敵とは限りません。手前・中景・遠景で濃さが変わることが、 平面的になりがちな空撮に奥行きを作ります。全部抜くか、 残して奥行きにするかは絵柄で決めることで、正解は1つではありません。

空撮特有の問題2:空と地面の明るさが違いすぎる

上から撮ると、明るい空と暗い地面が同じフレームに入ります。 空に露出を合わせると地面が潰れ、地面に合わせると空が飛ぶ。 編集ではハイライトだけ・シャドウだけを別々に動かせる調整 (ハイライト/シャドウ、またはトーンカーブの上下)を使い、 全体の露出スライダ1本で解決しようとしないことです。

ただし、撮影時に白飛びした空は編集では戻りません。 飛んだ部分には情報が残っていないからです。空を残したい画では、 露出を空に合わせ気味にして撮り、地面は編集で持ち上げる方が安全です。 暗部の持ち上げは戻りますが、白飛びは戻らない。この非対称だけ覚えておいてください。

緑を上げすぎない

森や田畑の緑は、彩度を足すと真っ先に蛍光色になります。 空撮は画面の大半が緑ということが多いので、被害が目立ちます。 全体の彩度ではなく、色相 vs 彩度のカーブで緑だけ控えめに調整するか、 緑を暖色側へ回さない設計のLUTを使ってください。緑が錆色や蛍光色に転んだ空撮は、 どれだけ構図が良くても「加工した画」に見えます。

D-Logで撮っていた場合

確認して素材がD-Log(またはD-Log M)だったなら、話は地上のLOG素材と同じです。 LOG→Rec709の変換を1回だけ通してから、上の霞・空・緑の調整をします。 手順の骨格はS-Log3のグレーディング基本と 共通なので、そちらを読み替えてください。注意点も同じで、 D-Log用のLUTをノーマル素材に、ノーマル用をD-Log素材に、という 取り違えだけが事故のもとです。

直す前と後で、絵はこう変わります

ノーマル撮影の空撮を上の手順で整えると、変化は3段階で現れます。 まず黒レベルを下げた時点で、画面全体に1枚かかっていた白いベールが消え、 手前の地物に立体感が出ます。次に青かぶりを抜くと、緑が「青緑」から 本来の緑に戻り、屋根や土の暖色が出てきます。最後にハイライトとシャドウを 別々に整えると、白かった空に雲の階調が戻ります。 逆に言うと、彩度スライダはここまで一度も触っていません。 空撮で彩度から手を付けると、緑が蛍光色になるだけで霞は残ります。 順番が結果のほとんどを決めます。

仕上げの前提として

SNSに上げる空撮は、圧縮でなだらかな空のグラデーションが段差になりやすい という別の問題もあります。実測した記事に 書いたとおり、暗部を締めすぎないことと書き出しビットレートを上げることが対策です。 色編集の段階で空の階調を使い切らないよう、少し余裕を残しておいてください。

この記事に関係する素材

AERIAL LUT vol.8 — 空撮・ドローン

上から撮った絵のための10ルック。霞んだ遠景を起こし、広い画角で空と地面を同時に守ります。

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